TREATMENT
虫歯治療
目次
虫歯治療
虫歯治療を考える際、「痛みが怖い」「歯を大きく削られるのでは」「神経まで抜くかもしれない」といった不安を抱える方は多いでしょう。そこで当院では、可能な限り痛みを抑え、削る量を少なくし、歯の神経を守ることを重視した治療を実施しています。
また、保険の範囲内で白い素材による治療が選択できるケースもあり、見た目にも配慮できます。
歯が細菌に侵されてしまう虫歯は、初期段階だと自覚症状が少ないまま進行することがあります。特に痛みが出たり冷たい水が沁みる前の段階では放置してしまうと、やがて神経まで到達し激しい痛みや腫れなどを伴うケースが増えます。そのため、違和感を覚えたら早めに受診することが大切です。
虫歯を早期に発見できれば、歯を大きく削るリスクや神経を抜くリスクも低下するため、定期検診を活用して虫歯の予防と早期治療を心がけてみてください。
虫歯の進行状況と治療
虫歯は進行度合いにより、C0からC4まで段階的に分けられます。進行度が上がるほど治療範囲が広くなり、痛みや費用、通院回数の増加につながる場合があります。そのため、なるべく早期に治療を始めるのが望ましいです。
C0:初期段階の治療
C0の虫歯は歯の表面がうっすら白濁するなどの変化が見られるものの、穴は開いていない段階です。この段階であれば、適切なブラッシング指導やフッ素塗布などによって再石灰化が期待できるケースがあります。
歯科医院で定期的にチェックしつつ、自宅でのケアを徹底することで、削らずに経過観察だけで済む可能性が高まります。初期虫歯は痛みを感じにくいため気づかれにくいのですが、この時期に発見できれば大がかりな治療を回避できる点が大きなメリットです。
C1-C2:軽度から中度の治療
C1はエナメル質の範囲にとどまる虫歯で、C2になると象牙質まで進行しています。軽度~中度の虫歯では、穴が小さい場合はコンポジットレジン(CR)などを用いて比較的短期間で治療を終えられる場合があります。
ただし、症状が進んでいるほど削る範囲が大きくなりがちです。当院では拡大鏡や超極細ドリルを使って最小限の除去に努め、なるべく歯の神経を守りながら治療を行います。神経を温存できるかどうかは虫歯の深さや部位によりますので、まずは精密検査で状況を確認いたします。
C3-C4:重度から末期の治療
C3は歯の神経まで達した状態で、強い痛みや冷たいものがしみるなどの症状が頻繁に起こります。根管治療(神経の処置)が必要になると通院回数も増える傾向にあります。
さらにC4まで進むと歯冠が崩壊し、抜歯を検討しなければならないケースも出てきます。当院では可能な限り抜歯を回避する方針を掲げていますが、状態によって保存が難しい場合でも患者さんにしっかり説明を行い、入れ歯やインプラントなど、その後の治療選択肢も含めてご案内します。
当院の虫歯治療の特徴
虫歯が見つかった際、多くの方が痛みや治療中の負担を心配されます。当院ではこうした不安を和らげるため、事前カウンセリングと丁寧な説明に力を入れています。
痛みの緩和や削る量の最小化、神経を残す対応など、いずれも長期的に歯の健康を守るための取り組みです。患者さんが「何を優先させたいか」を大切に考え、相談しながら治療内容を決定していきます。
特徴①:痛みを抑えた治療法
痛みに敏感な方でも安心して治療を受けられるよう、当院では「表面麻酔」と「極細の針」を組み合わせて、できるだけ痛みを抑える工夫を行っています。
1.表面麻酔
治療の前に表面麻酔を歯ぐきに塗布することで、麻酔注射時の「チクッ」とした痛みを軽減します。
2.「極細の針」を使用
針が細ければ細いほど痛みは少なくなります。当院では極細の針を使い、ソフトに注射することで痛みを抑えます
こうした配慮により、多くの患者さんから「ほとんど痛みを感じなかった」「思っていたより楽だった」とのお声をいただいています。歯科治療に不安がある方や、過去に痛みでつらい思いをされた方にも、安心して通院いただける環境づくりを大切にしています。
特徴②:削る量を抑える治療法
「歯は一度削ると再生しない」という事実を踏まえ、当院ではできる限り歯を削らずに治療する方針を徹底しています。そのため、拡大鏡(ルーペ)や超極細ドリルなどの精密機器を活用し、患部を正確に見極めながら必要最小限の処置を行います。
拡大視野のもとで、虫歯の範囲を丁寧に確認しながら、超極細ドリルで健康な歯質を傷つけないように慎重に除去していきます。また、手の感覚を活かして軟化した部分の取り残しがないように仕上げます。
ルーペ(拡大鏡)の使用
従来は肉眼での治療が一般的でしたが、当院では症例に応じて拡大鏡(ルーペ)を使用します。肉眼では見落としがちな微小な虫歯部分を明確に確認できるため、ピンポイントで的確に削れます。結果として歯質の温存に役立ち、再治療のリスクを減らすことにもつながるメリットがあります。
超極細ドリルによる最小限の削除
歯を削るドリル(バー)が太いと、一度に広い範囲を削り落とすため、どうしても健全な歯質にダメージが及びやすくなります。当院で採用している超極細ドリルは、虫歯部分を極力限定的に除去できる特長を持ち、結果的に削る量を抑えられます。拡大鏡と併用することで、より精度の高い治療が可能です。
こうした一手間を惜しまず、精密な治療を行うことで、歯の寿命をできるだけ延ばすことを目指しています。
特徴③:歯の神経を守る治療法
当院では可能な限り歯の神経を守る治療を行っています。しかし、ケースによっては神経を除去しなければならないケースもあります。その際は、患者さんにしっかりご説明したうえで処置を行います。
特徴④:「虫歯治療=銀歯」ではない
虫歯を治療したあとに装着する詰め物といえば、銀歯を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実は、保険診療でも「白い素材」を使った治療が可能なことをご存じでしょうか?
当院では「CR(コンポジットレジン)」と呼ばれる樹脂で、自然な見た目を保ちながら虫歯の部分をしっかりと補うことができます。治療の適応範囲には限りがあるものの、小さな虫歯や銀歯を避けたいケースでは大変有効です。
また、CAD/CAM冠(キャドキャムかん)と呼ばれるハイブリッドレジンというレジンとセラミックを混ぜた素材を用いた、コンピューター設計で削り出される白い被せ物も、2024年6月の改定により多くの場合で保険適用が可能になりました。審美性や耐久性ではセラミックに劣る場合がありますが、金属アレルギーの心配がなく、費用を抑えて治療を受けられるのが特徴です。
すべての虫歯に適しているわけではありませんが、「なるべく銀歯を避けたい」「見た目も重視したい」という方にとっては、選択肢のひとつです。ご興味がある方は、ご相談ください。
虫歯治療の詰め物と被せ物
保険診療
保険診療の詰め物や被せ物は材料が決まっているので、CAD&CAM冠を希望しても欠損があるため金属になるなど、自由に選べないこともあります。
コンポジットレジン
※CR素材による虫歯治療の症例
「CR(コンポジットレジン)」と呼ばれる樹脂で、自然な見た目を保ちながら虫歯の部分をしっかりと補うことができます。治療の適応範囲には限りがあるものの、小さな虫歯や銀歯を避けたいケースでは大変有効です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・白い素材なので目立たない ・1回の治療で終了する ・歯の隙間をしっかり埋めるため虫歯になりにくい ・歯を削る量を最小限に抑えられる |
・変色することがある ・被せ物では利用できない ・症例が限定される |
金属の詰め物・被せ物
パラジウム合金という銀色の金属を使った治療です。強度はありますが、柔軟性に欠けるためたわみがなく、経年とともに歯との接着面に隙間ができることもあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・強度があるため硬く割れにくい | ・見た目が目立ちやすい ・経年による劣化が起こりやすい ・金属アレルギーのリスクがある ・二次虫歯が起こりやすい ・メタルタトゥーのリスクがある |
CAD&CAM冠
ハイブリッドレジン冠とも言いますが、強化プラスティックによる治療です。保険で入る白い歯ですが、金属に比べれば強度は劣り、色は白いですが天然の歯とは見た目も異なります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・色や形が自然 ・虫歯再発のリスクを抑えられる ・金属アレルギーのリスクがない ・対合歯に優しい |
・歯を削る量が多い ・経年劣化がしやすい ・傷付きやすく割れやすい ・適用できないケースがある |
自由診療
「見た目」や「予防」に特化した素材や治療をご希望される場合は自由診療の詰め物や被せ物が必要となります。当院では、以下の詰め物や被せ物をご用意しています。
ジルコニア
人工ダイヤモンドと言われるほど硬い物質ジルコニアを使っているため強度も十分で、長期的な使用に耐えられます。歯牙の色調再現も高く、生体親和性に優れています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・色や形がより自然で、審美性が高い ・プラークがつきにくく虫歯になりにくい ・歯ぎしりや食いしばりがある奥歯でも使用可能 ・金属アレルギーの心配がない ・金属より軽く精度が高い |
・費用が高い ・歯よりも硬いため、対合歯に負担がかかる ・治療完了まで時間がかかる |
オールセラミック
白く透明感がある陶器素材(セラミック)で作られ、天然歯と遜色のない仕上がりになるため歯牙の色調再現性に大変優れています。耐久性も高く長期的な使用に耐え、生体親和性にも優れています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・色や形がより自然で、審美性が高い ・プラークがつきにくく虫歯になりにくい ・着色や劣化の可能性が低い ・幅広い虫歯にも適用できる ・表面に傷が付きづらい ・虫歯になりにくい ・金属アレルギーの心配がない |
・費用が高い ・金属よりも強度が低い ・歯を削る量が多くなる ・強い力がかかると欠けたり割れたりすることがある ・治療完了まで時間がかかる |
E-MAX
「セラミックインレー」の一種で、従来のポーセレン製のセラミックよりも硬度や靭性などの耐久性が高い素材です。また、セラミックブロックからデータで効率的に作り出せるため一人ひとりの天然歯に近い色調を再現できます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・色や形が自然 ・強度・耐久性が優れている ・虫歯になりにくい ・金属アレルギーの心配がない |
・費用が高い ・歯を削る量が多くなる ・強い力がかかると欠けたり割れたりすることがある |
セレックインレー
セラミック使用のため、変色しにくい素材です。コンピューターや機器によって作られるため、すべての人工歯を同程度の高いクオリティかつスピーディーに仕上げられます。歯科技工士に依頼するよりも、価格も安く、精度の高い治療をすることができます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・色や形が自然 ・着色や劣化の可能性が低い ・虫歯になりにくい ・金属アレルギーの心配がない ・低価格で精度の高い治療ができる ・短時間で治療を終えられる ・歯型の採取がない |
・強い力がかかると欠けたり割れたりすることがある ・適用できないケースがある |
ゴールドインレー
金を使った詰め物で、適合性が固く虫歯が再発しにくい素材です。生体親和性に優れています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・しなやかさがあり歯との適合性が高い ・虫歯が再発しにくい ・人体への親和性が高い ・健康な天然歯にも負担をかけない |
・見た目が目立ちやすい ・費用が高い |
虫歯治療の流れ
① 初診・カウンセリング
ご来院後、まずは患者さんのお悩みや気になる症状をお伺いします。過去の治療歴や日常生活での困りごとなども含めて丁寧にヒアリングし、不安や疑問があればこの段階で解消できるよう努めています。
② 検査・診断
虫歯の状態を正確に把握するために、以下のような検査を行います。
・お口の中の写真撮影
・レントゲン撮影
・必要に応じてCT検査
これにより、虫歯の位置や進行度、周囲の歯や顎骨の状態まで立体的に確認し、的確な診断を行います。
③ 治療計画と費用の説明
検査結果をもとに、患者さんに合った治療法をご提案します。
生活スタイルや治療へのご希望を考慮し、治療内容・回数・期間・費用を明確にご説明。患者さんが納得したうえで治療を進められるよう、丁寧な説明を心がけています。
④ 虫歯の除去(麻酔対応あり)
治療開始時には、必要に応じて表面麻酔や局所麻酔を行い、痛みをできるだけ抑えます。
虫歯に侵された部分だけを必要最小限に削り取ることを重視し、健康な歯質を可能な限り温存します。
⑤ 詰め物・被せ物による修復
削った部分に合わせて、以下のいずれかの方法で修復を行います。
・小さな範囲の場合:詰め物(レジンやインレー)
・範囲が広い場合:被せ物(クラウン)
機能性だけでなく、見た目の自然さにも配慮して素材を選択します。
⑥ 噛み合わせ調整・仕上げ
詰め物や被せ物を装着した後、上下の歯の噛み合わせを丁寧に調整します。
その後、治療部位を研磨(ポリッシング)して、滑らかな仕上がりに整えます。
⑦ 通院が必要な場合のサポート
虫歯の進行度や治療内容によっては、複数回の通院が必要になることもあります。
その際は、治療スケジュール・回数・期間を事前に共有し、患者さんの負担を最小限に抑えた通院計画を立てます。
安心・安全への取り組み
衛生管理や感染予防の徹底は、患者さんに安心して通院いただくための基本です。当院ではオペ室や器具を徹底除菌しております。また、スタッフは治療技術の向上だけでなく、接遇やコミュニケーション面でも学びを深め、不安を抱える方に寄り添えるよう努めています。
院内感染予防や患者さんの安全性に配慮することが、適切な治療成果につながると考えています。